文化審議会が「軽井沢夏の家(旧アントニン・レーモンド軽井沢別邸)」を重要文化財に答申
文化審議会が「軽井沢夏の家(旧アントニン・レーモンド軽井沢別邸)」を重要文化財に答申
■ ペイネ美術館の建物が国指定重要文化財へ
■ 今秋アントニン・レーモンド夏の家(仮)展を開催
2023年6月23日、国の文化審議会文化財分科会は、軽井沢タリアセンが所有する「軽井沢夏の家(旧アントニン・レーモンド軽井沢別邸)」(現:ペイネ美術館)を国指定重要文化財に指定すると文部科学大臣へ答申しました。重要文化財に指定されれば、軽井沢タリアセンの建築物では初であり、軽井沢町では43年(1980年5月指定の旧三笠ホテル)ぶり2棟目となります。答申に伴いペイネ美術館では、本年9 月アントニン・レーモンド夏の家(仮)展を開催し、レーモンドが設計した歴史的建造物を普段では見られない、雨戸を開放した姿で公開する予定です。
「軽井沢夏の家」は、ボヘミア(現在のチェコ)生まれ米国建築家アントニン・レーモンド(1888~1976)が設計、1933(昭和8)年軽井沢町南ヶ丘に建設され、レーモンド自身、妻のノエミ、そしてレーモンド事務所の所員数名らが、夏の間を過ごす別荘兼設計スタジオとして利用されました。1937(昭和12)年、レーモンドのアメリカ帰国の際に売却され何代かの所有者を経たのち、1986年当社が塩沢湖畔に移築復原し、フランス人画家レイモン・ペイネの絵画を展示するペイネ美術館として活用しています。
軽井沢タリアセン内ペイネ美術館では国指定重要文化財答申を記念し、9月23日(土)から11月23日(木)にかけて、アントニン・レーモンド「夏の家」(仮)展を開催いたします。通常は雨戸や窓を締め切りにしていますが、会期中は大部分を開放し建物本来の姿を公開、また「夏の家」関連資料を展示します。
▶ 建物の特徴
「夏の家」は、ル・コルビュジエ設計の「エラズリス邸」(1930年)の計画案が原型で、原案のバタフライ屋根と屋根形状に沿ったスロープを採用し、皮むき栗材と杉材を自然の形状のまま柱と梁に使用しています。リビングの開口部は、コルビュジエの案を改良し「芯外し」(柱とガラス戸の位置を分ける)を採用することで部屋の内外の連続性が高まり、開放感ある空間を実現しています。文化審議会の発表では、日本建築の様式を折衷させた「木造モダニズム建築」の先駆けとして、歴史的評価が高いものと評価されています。
▶ アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)について
ボヘミア(現在のチェコ)に生まれ。プラハ工科大学卒業後渡米。1919年帝国ホテル建設のため初来日。その後自らの事務所を立ち上げ日本を拠点として活動。1933年、自身の別荘兼アトリエ「軽井沢夏の家」を軽井沢南ヶ丘に建築。主な作品に、群馬音楽センター、東京女子大学、南山大学、聖パウロ教会、軽井沢第二スタジオ、新発田カトリック教会など。近現代日本建築に大きな影響を与えました。